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IIJ.news Vol.193 April 2026

インドネシア
PT. IIJ Global Solutions Indonesia President Director
延廣 得雄
インドネシアは人口約2.7億人を擁する東南アジア最大の経済圏であり、安定した経済成長と政府主導のデジタルトランスフォーメーション(DX)政策を背景に、企業のIT投資需要が着実に拡大しています。当社インドネシア現地法人は、この成長市場において、日本で培った技術力と運用品質をもとに、現地社会と企業の発展に貢献することを使命として事業を展開しています。
インドネシアの国土は約1万7000の島嶼から成り、通信インフラに関しては依然として未整備の地域が多く残されています。
① 島が多く、人口の少ない地域では通信事業としての採算が取れず、インフラ整備が進まないため、経済活動・人材・サービスが、通信環境の整った首都ジャカルタに集中し、地域格差が拡大している。
② 通信環境が整っていない地域では、教育や医療などの行政サービスが十分に行き渡らず、人材や社会基盤が育たない。その結果、国全体を成長させるためのソフトパワーが未成熟で、経済成長のボトルネックになっている。
私たちはこうした環境を「制約」と捉えるのではなく、「まだ十分に行き届いていない価値を届ける余地が残された市場」と考えています。その象徴的な取り組みが、Starlink(米SpaceX社が提供する、低軌道を回る多数の人工衛星を介した、地上のインフラに依存しない衛星インターネット)を活用した次世代衛星通信サービスの展開です。
当社はStarlinkを単なる通信手段として提供するのではなく、サイバーセキュリティ対策や運用サポートと組み合わせ、安全かつ信頼性の高い通信手段として提供すると同時に、遠隔地やインフラ未整備地域においては、災害時などにも安定した通信環境を確保することで、人々の働き方や事業活動の可能性を広げることに挑戦しています。
デジタル化が進む一方、サイバーリスクが顕在化するインドネシア市場において「つながること」と「守られること」を同時に実現するのは、企業活動の基盤を支える重要な価値であると考えています。
こうした取り組みは、製造業、資源開発、物流など、遠隔地や複数拠点で事業を展開する企業を中心に、徐々に共感と信頼を得つつあります。一つひとつの課題に丁寧に向き合いながら、現場に根ざした解決策を積み重ねていくことが、結果として長期的なパートナーシップや継続的な事業成長につながると考えています。

船舶に設置したStarlink

IIJグループが拠点をおく首都ジャカルタ
2026年にはバンドン市に新拠点を開設し、外資系としては稀有なインドネシア国内向けISP事業を開始する予定です。Starlinkと固定回線を組み合わせたハイブリッド型通信サービスにより、気候や自然環境に左右されにくい通信基盤をワンストップで提供できる体制を構築します。またインドネシアでは、工事による回線切断や降雨時に通信が不安定になることが多く、事業に不可欠なインターネットの品質確保が課題でしたが、どんな環境でも安定した通信を実現できる点が本サービスの特徴です。
インドネシア社会の課題に正面から向き合いながら、通信とセキュリティを通じて新たな価値を創出し続けること――それが私たちの挑戦であり、未来に向けた成長の原動力だと考えています。
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