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IIJ.news Vol.193 April 2026

中国
IIJ Global Solutions China Inc.総経理
李 天一
近年、中国国内では「内巻(インボリューション)」という言葉が話題になりました。熾烈な競争が続いた結果、経済活動が疲弊・停滞してしまう状態を指します。実際、予算は細り、似通った提案が繰り返され、市場には消耗感が漂っています。
そうしたなか、匠の知恵(日本)と創発のスピード(中国)が交わる〝交差点〟に立つ私たちの使命は、お客さまのご要望にソリューション(最適解)を提供することだと考えています。ズバリ、打ち手は「ディフェンシブ&アグレッシブ」――“選択と集中”です。
ある日、日系メーカの責任者と酒を酌み交わしていた時のことです。「全てのデータを鉄壁に守れと言われても、コストは天井知らずだ。本当に守るべきものは何なのか、誰も教えてくれない」と、酔いに任せて本音をこぼされました。
何もかもを金庫に入れてしまえば、現場は止まり、コストも膨らんでしまいます。そこで「守るもの」と「回すもの」を分けて考えます。守るものは、配合・加工条件・治具の勘所であり、隔離して接触を必要最小限にすることで安全性を担保します。一方、回すものは日常の運営データであり、継続的な監視と迅速な復旧によって可用性を維持します。
厄介なのは、どちらの領域においても、当局・本社・同業他社という3つの圧力が同時にかかる点です。法令順守、グループ内ポリシーへの適合、そして実効性をともなった“止めない”セキュリティが、同時に求められます。
私たちは「ゼロトラスト」をベースとした、都度のアクセス評価、AIによる資産のランキング付け、マイクロセグメンテーションによるラテラルムーブメント*の遮断の3つを組み合わせて、「現場で実行可能な設計」に落とし込み、お客さま環境に実装します。
私たちは、ITに関する支援だけでなく、製造業をはじめとしたお客さまのOT環境を整えるサポートも行なっています。
それは言い換えると、組み付け順序や位置といった「情報」と、複数のパーツに動力や熱といった「エネルギー」を狙い通りに投入しながら、バラツキとムダを潰していく「アセンブリ製造の終わることのない最適化」だと考えています。
とりわけ、電子部品・電機系メーカの工場では、実装(SMT)や塗装のような工程ほど、ムダは時間ではなく、電力・熱・ガスの“使われ方”としてデータに表れます。 そこで、エネルギー使用量をベースとして、設備の稼働状況(OEE)や生産の結果(設備が狙い通り動けているかなど)を重ね合わせながら、「どの工程の、どの状態が、どれだけ損失を生んでいるのか」を数字で特定していきます。
ここでの狙いは、省エネを単発の「節約」で終わらせないことです。つまり、毎月の運用として改善が回り続けるかたちにして、エネルギーデータを組織の意思決定に耐えうる情報に翻訳することこそ、私たちの役割だと考えています。
* 外部の攻撃者やマルウェアが企業内ネットワークに侵入したあと、横移動しながら侵害範囲を拡大していく攻撃手法。

上海の展望台から見る街並み
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