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IIJ.news Vol.193 April 2026

近年、企業活動が国内で閉じることはまれで、「サプライチェーン」が世界中に伸長するにつれ、セキュリティの守備範囲も広がる一方である。
ここではそうした現状に対する最適解の1つと見られている「SASE (Secure Access Service Edge)」について、特に海外展開を念頭に解説してみたい。
IIJグローバルソリューションズ 執行役員技術統括本部 Value Creation 本部 副本部長
安藤 裕之
IIJグローバルソリューションズ(以下、IIJグローバル)は2025年度からASEANのIIJグループ各社と共同で同地域のエンタープライズ市場向けに、 SASEプラットフォームの提供拡大に本腰を入れています。日本およびアジア・パシフィックで積み上げてきた導入・運用の知見をベースに、 ASEANの日系企業が「無理なく、確実に」次世代ネットワーク/セキュリティ基盤へ移行するお手伝いをしています。
企業ITは近年、その前提となる環境が大きく変化しました。業務システムがクラウドへ移行するとともに、拠点・端末・働く場所が多様化し、従来のように社内ネットワークとインターネットの“境界”を防御する手法では、最新のセキュリティ事情に追従しづらくなっています。加えて、ファイアウォールを標的とした攻撃や端末・サーバに対する侵害が後を絶たない現実も大きな懸案となっています。
こうしたなか注目を集めているのが“ゼロトラスト”という考え方です。SASEは「社内外の全ての通信・アクセスを信頼せず、常に検証する」という発想のもと、ネットワークとセキュリティをクラウドサービスとして統合的に提供します。SASEの場合、拠点・ユーザ・クラウドサービスが分散するほど、境界に依存しないその利点が大きくなるのです。
IIJグローバルでは、企業ITシステムのクラウド化や働く場所の多様化を見据えて、「いつでも、どこでも、安全・快適に」業務を行なえる基盤が必要になると考え、2018年頃からSASEプラットフォームの商材化および提供を進めてきました。
2020年のコロナ禍を機に在宅勤務が急増し、 SASEの活用が日本でも一気に広がりました。IIJグローバルはグローバルな利用を前提としたSASE提供に関して、日本のみならず、アジア・パシフィックにおいて最大規模の実績を誇っており、24時間365日のバイリンガル対応など、「導入したら終わり」ではなく、運用レベルでの価値の創出を重視しています。
IIJグループの現地法人が多数存在するASEANでは、まだ境界型ネットワーク防御が中心であることも事実ですが、グローバルSASEプラットフォームを提供する各社と意見交換を繰り返すなかで、ASEANにおいても「SASE展開を進めていこう」という機運が高まりつつあることを実感しています。
境界防御を固めても、ユーザ・端末・クラウドが増えるにつれ、ポリシーの適用にムラが出たり、例外設定が積み重なったりして、運用が複雑化します。こうした「構造的な運用負荷」を減らし、統一ポリシーで可視化・制御していくうえで、SASEの選択は理に適っていると言えます。
ASEANでも各種生成AIあるいはプライベートAI基盤の活用が加速化しており、業務効率化や新しい顧客体験を生じさせる一方、データの取り扱い、アクセス制御、ログ管理、ガバナンスなどこれまで以上に注意を要する事柄も増えています。さらには「Security for AI」といった新たな課題に対しても、クラウドサービスとして機能拡張を迅速に反映できるSASEなら、より柔軟な運用が可能になります。
こうした背景のもと、IIJグローバルでは2025年度からASEAN地域におけるエンタープライズ市場向けにSASEプラットフォーム提供を拡充する活動に着手しました。これまでもグローバルに進出する日系企業向けにSASEプラットフォームの提供実績を重ね、運用体制をサポートしてきましたが、現地エンタープライズ市場向けの取り組みはまだ本格化していませんでした。
そこでまずは2025年10月シンガポールにて、パロアルトネットワークス(Palo Alto Networks)社、IIJグローバル、PTC SYSTEM(S)の3社合同でビジネス機会発掘のためのマーケティングセミナーを開催しました。(写真参照)
今後は、グローバルSASEのプラットフォーマーと連携しながら、ASEANにおいてもSASEプラットフォームの普及に努め、サービスを単に提供するのではなく、導入設計、移行計画、運用設計、継続的な最適化までを見据えて、現地のお客さまが“使いこなせる”運用を実現していきたいと考えています。


シンガポールで催された、パロアルト社、IIJグローバル、PTC SYSTEM (S)の3社による合同マーケティングセミナー
ネットワークとセキュリティは、今やビジネススピードと直結する経営課題です。変化が速い時代においては、守りの強さだけでなく、「変化に追随できる構造」を持つことが競争力を高めます。IIJグローバルは、日本およびアジア・パシフィックで培った実装力と運用力を武器に、 ASEANでもSASEの提供に注力し、真のアジア・パシフィックNo.1のプラットフォーマーになれるよう取り組みを加速してまいります。
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